美的感覚は、最も得難い能力です。

美的感覚があれば、人とどうコミュニケーションをとるか、どう選択をするか、どう行動をするかが自然と分かります。いつ口を開き、何を話し、どこで間を取るか、どの言葉とトーンを使うべきかを知っています。複雑な人や事に直面しても、ほとんどためらうことはなく、毎回の選択は明確です。

美的感覚を得るためには、専門的な訓練は確かに役に立ちますが、それは専門分野における美的感覚しか得られません。たとえば、音楽、絵画、文学、論理、数学、物理の美的感覚です。哲学を学ぶことも、哲学の範疇に限られた美的感覚に制約されます。

全体の生活の美学を得ることは、壮大から微細まで、抽象から具体的な日常の詳細まで、はるかに難しい。こうした普遍的な美学は少なくとも一つの特質、つまり誠実さに関連している。この誠実さは、嘘をつかないことではなく、自分自身に対して誠実であることを意味する。